カチ・コチ・キョクチ教室

国立極地研究所

1.教室
2.極地とは
3.極地を目指した冒険家
4.昭和基地
5.主な研究
6.未来の地球
見学メモ
参考文献
全て見る

1.教室

1.教室

はーい、では授業をはじめます。

2.南極・北極科学館

ここが南極・北極科学館。

国立極地研究所の観測研究活動が見学できる施設だよ。

3.

国立極地研究所って何をする所ですか?

昔やこれからの地球環境や宇宙について知るために「極地」を調査研究している機関だよ。

4.

極地って何ですか〜?

2.極地とは

5.極地とは

極地とは地球の頭とお尻、北極と南極のことだよ。

6.南極と北極

南極  北極 (北極点を中心に北緯66.5度より北のエリア)

大陸(南極大陸)

日本の面積の約37倍

氷の一番厚い場所で4776m(富士山・3776m)

海(北極海)

日本海の14倍

どこの国の領土でもない(領土権を主張する国もある)

      

平和を目的とし、科学調査研究のため各国が協力(南極条約)

北極に領土を持つ国

アメリカ、カナダ、デンマーク、 アイスランド、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、ロシアの8カ国。

次に、極地探検の先人達を紹介しましょう。

3.極地を目指した冒険家

7.ロアール・アムンセン(1872-1928/ノルウェー)

1910年:アムンセン、英のロバード・スコット、日本の白瀬矗の探検隊が南極点を目指す。

1911年12月14日:アムンセン隊が南極点にはじめて到達した。

スコット隊は南極点に到達後、全滅。白瀬隊は到達できず撤退。

8.フリチョフ・ナンセン(1861-1930/ノルウェー)

北極点到達ははたせなかったものの、それにともない、船の設計(フラム号/のちにアムンセンが使用した)、極地の対処法(服やスキーなど)、海洋研究(海流観測)など、ナンセンは、現代につながる革新的な発見や技術を開拓し、北極探検の父と言われている。

最初に北極点にたどりついたのは1909年にアメリカのロバート・ピアリー(1856-1920)の隊とされてきたのだが、最近になりその証拠が偽物という説が出ている。

9.白瀬矗(1861-1946)

白瀬は自ら資金を集め、日本人としてはじめて南極探検に挑戦するも、挫折。 到達できた地点に大和雪原と命名し無事帰国。 隊員を全員無事帰還させたことは国際的にも評価される。 その後の半生は、探検費用の借金返済のための講演旅行におわれるも、 その冒険談が子供達に夢を与え、後進を作るきっかけにもなった。
(外部リンク:白瀬記念館)

次は、彼の後進、日本の観測隊の登場です。

4.昭和基地

10.第一次観測隊

国際地球観測年(IGY:1957-’58)を契機に、 国際的な共同調査、日本の南極観測が始まりました。 1956年、第一次観測隊は砕氷船・宗谷で南極に向かい、 1957年1月29日、オングル島に上陸。 付近一帯を「昭和基地」と命名しました。

11.昭和基地

昭和基地は、南極点から2000km以上離れており、北緯69度、東経40度の東オングル島にあります。 日本との時差は約六時間。夏の三ヶ月滞在する隊、一年滞在する越冬隊、それぞれ30名です。

昭和基地のライブ映像がみれるんだね。

12.建築物

南極建築第1号は日本初のプレファブ建築で、 建築に関しての素人でも作れるよう工夫された設計になっていました。 建築規模は輸送船の積載量できまり、年々船の進化とともにその積載量が増え、 基地は拡充し、恒久化していきました。

異業種の専門家が共同で建築作業をしてたんだね。

13.隊員の生活

食事は、隊員にとって大きな楽しみのひとつ。
当初は食料事情のほかに燃料や水、保存の問題があったり、 現地の生物を捕獲し食料にもしたこともあったんだ。

え、え、え、え、え、え、え、えっ〜!

現在は飽きのこない豊富なメニューになり、野菜も栽培もしています。 この半世紀の間に、通信も無線からインターネットに変わり、観察研究環境はもちろん、様々な工夫により、 光熱、生活水、トイレ、風呂、医療にイベントまで快適に生活できるようになっています。

5.主な研究

14.観測・研究

宙空圏 磁気・電離層、オーロラなど
気水圏 大気、気象、雪氷、海洋など
地圏 地質、地形など
生物圏 小さな生物/プランクトン等, 大きな生物/ペンギン等, 陸上・湖沼生物/コケ等
極地工学研究 現地での設営、エネルギー利用、造水など

南極は人工的な汚染をほとんどうけてないから、ちょっとした環境の変化がわかりやすいんだよ。

だから根気強く観察することで、自然環境について様々な発見をすることができるんだね。

では代表的なものを一部紹介しましょう!

15.オゾンホール

日本の功績として有名なのは、オゾンホールの発見(1982)です。 陸上の生物にとって有害な紫外線を吸収し、 守ってくれるのがオゾン層(高度10-50km成層圏)
そのオゾン層に穴が空いていること(オゾンホール)を発見しました。

地球規模の環境汚染として、世界が認識し、その有力な原因であるとされるフロンガスの使用禁止のきっかけになったんだ。(モントリオール議定書:1987)

16.氷床の深層掘削

南極の氷床には、一番深いところでは、70から100万年前の大気が、気泡として閉じ込められていて、その時代の気温やco2濃度などを調査することができます。

つまり、時間の経過によって、積み重なった氷の層を分析することで、 太古から現在まで、地球の気候変動の歴史がわかるんだよ。

未来の気候変動の推測にも役立ちそうですね。

17.隕石の研究

日本は世界一多く隕石を採集所有しています。(約1万6千個/2006年) 中には、火星から飛来したものもあり、その成分を調べると、火星に水があったことがわかりました。

つまり、火星に海があったり、生物がいた可能性があるってことだね。

そのうち他の太陽系の惑星物質が見つかるかも。

18.オーロラの観測

オーロラとは太陽から発する太陽風(プラズマ粒子)が、 地球の高さ100-500kmの空気と衝突して光る現象。 オーロラの色や形、明るさから、大気中の原子や分子、 地球の磁場への影響や太陽風の状況などがわかります。

とはいえ、太陽活動と地球の関係などまだまだ謎だから観測は続きます。

隕石もだけど、南極を知れば地球のことだけではなく、宇宙もわかるんですねぇ。

19.生態系の観測

極地は厳しい自然環境ではあるけれどたくさんの生物がいます。 移動距離や行動、獲物の取り方、捕食被食、進化、成長や増減等々の生態を観測調査します。 気候変動などの自然環境の変化と、生態系へのその影響との関係もわかってきています。

南極には、ペンギンやアザラシといった有名な動物の他にもコオリウオ(血の色が無色)、ライギョダマシ(浮き袋がない)、コケボウズ(湖沼にいるコケや藻などが混在したもの)クマムシ(30年前に南極で採取し冷凍保存されていたコケから生き返った!)など不思議な生物もたくさんいます。

北極にペンギンはいないし、南極に陸の哺乳類はいないんだよね。

6.未来の地球

20.南極条約

南極はいわば文明から切り離された極地なので、 人間が地球環境に与える影響を監視する指標になります。

人間の都合だけで、地球のバランスを崩してしまうことは、 結局、人間自体のバランスを崩してしまうことであり、 環境問題には、国際協力のもと、未来に向かって恒久的にとりくまなければなりません。

そのため南極条約(1961年発効)が定められました。

それは、南極において、国々が領土を主張したり軍事利用したりせず、 国同士が協力しあうこと、自由に科学調査できることをおしすすめる、 つまり、平和的に人種や国境も越えて協力して、 地球の未来をよくする調査研究をしていこうということです。

未来の地球や生物への約束だね。

オゾンのように日本の研究成果は世界で活用され、それが国際的な信用にもなるんだ。とはいえ、環境問題の解決には、引き続き、継続的観測が重要。

21.未来の地球

だから日本や世界の子供達も大人になった日に、研究を引き継いでくれて、よりよい地球にしてくれると期待しています。

僕たちも期待してまーす!

見学メモ

見学メモ(南極観測基地)

★基地
日本の南極基地:
昭和基地、みずほ基地、あすか基地、ドームふじ基地
世界の南極基地:
越冬基地41箇所,夏基地2箇所(20カ国) 2016年現在

★建築物
2013年自然エネルギー棟、完成(太陽熱を利用した暖房システムを開発) 2018年基本観測棟、完成予定(気象、地学、電離層、環境化学の四つ棟を統合し、 観測とエネルギー効率化を測る)

★南極の料理人
「物も時には足りなくなる。なければ、あるもので賄う。 同じく「南極料理人」では、ラーメンが底をついたため、 麺を打つのに欠かせない「かん水」が、ベーキングパウダーの水溶液から作られた。 第30次隊と38次隊の調理人だった西村淳氏の実体験であり、 痛快なブリコラージュだ。(南極建築1957-2016 51Pより引用)」(ブリコラージュ:関連:民族学博物館・見学記)

★南極条約
東京大学東洋文化研究所

見学メモ(生物)

★バイオロギング
生物に小型カメラやセンサーをつけてデータを回収。その生態を調査します。 これまで謎だったペンギンやアザラシの生態の一部がわかるようになりました。

★ハドリング
皇帝ペンギンはおしくらまんじゅうのように密集して、気温の低下や猛烈な吹雪をやりすごします。

★海の生態系
「南極を代表する生物たちとの間をつなぐ生物がナンキョクオキアミで、 南極海の生態系のキー・スピーシーズ(鍵種)と呼ばれている。 南極海の生態系は、他の温暖な海域の生態系に比べると生物量は多いが種類数が少ないため、 一部の生物の変動が生態系全体に大きな影響を与えるものと心配されている。」 (南極大図鑑 P116 より引用)
漁獲による生態系への影響を避けるために、海洋生物資源の保存と利用をとりきめている。→ 南極海洋生物資源保存委員会(カムラ:CCAMLR)

★タロ・ジロ
環境保護に関する南極条約議定書(1998)により、現在は一切の生物の持ち込みが禁止されています。

見学メモ(気候)

★温暖化
北極の氷が減っているのは温暖化が原因ではないかと言われている。 / 北極海の氷は2000年代から急激に減っている。 / グリーンランドも温暖化していることは間違いない。 / 南極は平均気温がここ100年で0.6度あがった。 / 地球温暖化が南極氷床の質量収支への影響は未解明。 / 極地それぞれの場所によっては寒冷化していたり、気温が違い、一概に温暖化が進んでいるとは言い難い。

地球規模の気候変動を理解するには、まだまだ両極地の観測データが少なく、長期・広域にわたって観測が必要。

★極夜と白夜
地球の軸が傾いているため、1日中太陽が出ない(極夜)、1日中太陽が出ている(白夜)日があります。 昭和基地での白夜・約二ヶ月、極夜・一ヶ月半(極点では半年)

見学メモ(宇宙)

宇宙天気情報センター
太陽風などによる宇宙環境変動を観測し、それに伴う影響を予想して予報している。 人間や計器等システム等への被害軽減に利用されています。

★極地から宇宙へ
村上 祐資さん。第50次日本南極地域観測隊 越冬隊員をへて、The Mars Society(火星の探査・植民を目的としたNPO)が計画する「Mars Arctic 365(模擬火星基地での生活)」というミッションの最終選考参加。 HP:南極経由、宇宙行き。

見学メモ(極地)

★南極には三つの極がある。
南極点(地球の回転軸が地表と交わる二つの点のうちのひとつ)
南磁極(磁石が南を指す地点)
南磁軸極(南磁極とは別に計算求められた地点)

★第三の極地
ヒマラヤ山脈(エベレスト)は、第三の極地と言われています。

引用/参考文献

参考文献

★取材協力

★参考文献/引用

  • 国立極地研究所・HP,冊子
  • 南極大図鑑 (国立極地研究所 監修)
  • 南極観測隊のしごと (国立極地研究所 南極観測センター)
  • 極地からわかる地球の秘密 (監修 情報・システム研究機構 国立極地研究所)
  • 南極建築1957-2016 (企画:LIXILギャラリー企画委員会)
  • 南極大陸のふしぎ(武田康男)
  • 南極料理人(監督:沖田修一)
  • ウィキペディア

★写真:佐藤浩司

★サイト制作:ムラギしマナヴ

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